榮久庵憲司

GKデザイングループ創設者

榮久庵憲司

GKデザイングループ創設者のひとり、初代GKデザイングループ社長として尽力を注ぎ、日本を代表するインダストリアル・デザイナーとして、戦後日本のデザイン界に多大な功績を残しつつ、世界各国のデザイン界最前線で活動をし数々の作品を生み出しました。

GKデザイングループ会長であった故•榮久庵にとってデザインとは、モノを通して人に高貴さや生き甲斐をもたらす「モノづくりの道」であり、生涯を賭けてデザインの職能の確立と日本はもとより世界のデザイン界の発展に尽くしました。

榮久庵憲司について

榮久庵のデザインや作品は卓越しており、戦後インダストリアルデザインがまだ一般的ではなかった当時、その意義を伝え、実践を通じて啓蒙していきました。彼の故郷は原子爆弾が投下された広島であり、生まれ故郷の街が突然消滅し「何もない」という衝撃的な光景を目の当たりにしました。戦後の占領下で物がなく貧しく苦しい時代の辛い経験をしましたが、苦い経験よりも彼は人々の日々の「日常」を回復するためどう行動するべきか熱心に語っていました。
榮久庵は人生の早い段階で僧侶とし修行した経験があります。この経験によって、その後の彼の生き方へ大きな影響を与え、彼は、人生と与えられた贈り物についての使い方を説き、それに私は大いに感銘を受けました。彼の精神は彼の多くの作品の中に込められています。現代社会について話すときに彼は頻繁に古代民間伝承を使っていたこを思い出されます。

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榮久庵は、米国のロサンゼルスのアートセンターカレッジオブデザインを卒業した最初の日本人グループの1人でした。日本から離れた環境で過ごすことで、自国の独自性についての視点と洞察を養い、後のGKデザインのフィロソフィーにつながっています。 彼のデザインには「小さいけれどパワフル」や「コンパクトカルチャー」などのアイデアが多く使われています。 榮久庵憲司著「幕の内弁当の美学」は、日本の弁当箱の調査を通して、日本固有の文化と、彼が海外で過ごした経験に基づき執筆されました。 彼の著書「幕の内弁当の美学」はGKデザインの方向性を示す教科書にもなっています。

榮久庵は、インダストリアルデザイナーとしてキャリアをスタートさせ、専門分野を超えてデザインの領域を広げたデザイン界のパイオニアでした。 彼は、ICSID(国際インダストリアルデザイン協会)およびJIDA(日本インダストリアルデザイン協会)の会長として、インダストリアルデザインの推進役として世界中の産業や学者へ多くの時間を費やし世界に提言・提案し尽力を注ぎました。榮久庵にとってデザインとは、ものを通して人に高貴さや生き甲斐をもたらす「ものづくりの道」であり、生涯を賭けてデザインの職能の確立と日本はもとより世界のデザイン界の発展のために生涯を尽くしました。

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1957年に榮久庵憲司はGKデザインの扉を開いてから、その後に休暇をとることはなかった様です。GKは彼のもう一つの家族だったのかもしれません。晩年、多くの人が彼をデザイン政界の長老のように思っているようでしたが、GKでは彼はいつも非常に活力に満ちていました。

彼の故郷である広島で展示されたプロジェクト「FlyingHighin the Sky」は、彼の白鳥の歌であることがわかり、この展示へは、榮久庵憲司とGKデザインのライフワークが含まれていました。折衷的な主題は、オートバイ、電車、トラクター、住宅などの実用的な製品から、完全にチタンで作られた、輝く蓮の花の海の上に浮かぶ超越的な機械的な鳥を備えたユートピアのビジョンなどの形而上学にまで及んでいました。この機械的な生物の役割は、「天国に舞い上がることによって魂を運ぶこと」という意味が込められた物でした。彼の世界観はその先の世界に対する広い視野や想像力や思考が、榮久庵をユニークで素晴らしい思想家にしているのです。
GKデザイングループ以外の人にとっては、キッコーマン醤油瓶のデザイナーとして永遠に記憶に残るかもしれませんが、私たちにとってはGKの父でした。

Norman Kerechuk
GK デザインインターナショナル代表取締役社長

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人・自然の精神的なつながり

祈り / スートゥラ

榮久庵憲司

榮久庵憲司の略歴

  • 1929:  東京府北豊島郡西巣鴨町滝野川に生まれる
  • 1952: 東京藝術大学在学中に同級生とともにGKデザインを設立
  • 1955:  東京藝術大学を卒業
  • 1957:  GKインダストリアルデザイン研究所を設立、所長へ着任
  • 1970:  JIDA (Japan Industrial Designer’s Association)理事長(6年間)
  • 1971:  世界インダストリアルデザイン会議(ICSID ’73 Kyoto)実行委員長
  • 1975:  国際インダストリアルデザイン団体協議会(ICSID)会長
  • 1983:  つくばエキスポ’85展示施設委員会委員長
  • 1983: 東京国立近代美術館運営委員会のメンバー
  • 1985:  大阪デザインフェスティバル’85のエグゼクティブプロデューサー
  • 1987:  名古屋で開催された世界デザイン博覧会’89の共同ジェネラルプロデューサー
  • 1992:  東京メトロポリスの「デザインアップ」委員会の委員長
  • 1995:  伝統工芸産業評議会のメンバー

キャリア

  • 世界デザイン機構 会長
  • ICSIDセネター
  • 公益財団法人日本デザイン振興会 会長
  • Douguology 道具学会名誉会長

主な受賞および栄誉賞

  • コーリン・キング賞 (工業デザイン界のノーベル賞) 1979
  • 米国アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン名誉博士号授与 1981
  • 国際デザイン賞 (日本デザイン財団) 1987
  • 世界デザイン賞 (DSA) 1988
  • デザイン功労者表彰 (通商産業省)1992
  • 藍綬褒章 1992
  • JIDAグランプリ1993
  • サー・ミシャ・ブラック賞 (英国) 1996
  • 芸術文化勲章(フランス) 1997
  • ロンドン芸術大学名誉博士号 (英国) 1999
  • 勲四等旭日小綬章受章 2000
  • ヘルシンキ芸術大学 名誉博士号 (フィンランド) 2001
  • ラッキーストライク・デザイナー・アワード 2003
  • 獅子勲章 (フィンランド) 2004
  • 中国国際科学技術貢献賞(中国)2005
  • 特別功労賞(香港デザインセンター)2010
  • コンパッソ・ドーロ国際功労賞2014

エキシビション企画展

  • 榮久庵憲司とGKの世界: Soaring High in the Sky 鳳が翔く(世田谷美術館) 2013

主な著書

  • 道具考/ 鹿島研究所出版会 1969
  • インダストリアル・デザイン―道具世界の原型と未来/ NHKブックス 1971
  • 技術と人間を結ぶもの/ 日本経済新聞社 1972
  • 幕の内弁当の美学 (日本的発想の原点)/ ごま書房 1980
  • 道具の思想/ PHP研究所 1980
  • 英語版The Aesthetics of the Japanese Lunchbox(幕の内弁当の美学)/ 米国MIT Press 1998
  • インダストリアルデザインが面白い/ 河出書房新社 2000
  • 道具論)/ 鹿島出版会 2000
  • 道具寺建立縁起/ 鹿島出版会発行東京 2006
  • デザインに人生を賭ける/ 春秋社 2009
  • 袈裟とデザイン/ 芸術新聞社発行2011

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